備忘録的なショートショート


【1】

隣のオフィスの支店長にエレベーターホールで「久しぶり!ちょっと太ったね」と言われた。

本当はちょっと痩せており、多分その日着ていたフリースのせいでそう見えていただけなのだが、

そのまま説明したとしても、別に面白くもなんともないので、

「へへっ、そうなんですよ(汗)」

とうっかり八兵衛風に答えてしまう。

ふと、こんな事どこで学習したんだろうと思った。

学校では教わっていない。

 

【2】

育児に積極参加している(しようとしている)。その弊害かもしれないのだが、フットサルで際どいプレーをした時に「ニャー」と可愛い声でリアクションしてしまいクスクス笑われた。

 

【3】

奥さんに「(子どもの名前)と遊んでおいて」と言われる。

僕はあやしているつもりだったが、奥さんからするとただ遊んでいる様に見えているのかもしれない。

考えてみると「あやしてあげる」「遊んであげる」はたいそう上から目線なので、今後は快く一緒に遊ぶことにしよう。

 

【4】

子育て番組に、ある家族が登場した。夫の姿を見て「コイツ、滅茶苦茶ハゲとるな」と言うと、

奥さんに「何かハゲに厳しいよね」と指摘される。

我が身を振り返ると後頭部がハゲて来たので金髪にした口で本来仲間であるはずのハゲを”ハゲ”呼ばわりしている。

その晩DAZNでサッカーの欧州予選を見る。

Pukkiというフィンランドのエースストライカーはかなりハゲていた。

前半キーパーと1対1の決定機を外し、その1分後にPKも外してしまう。

「タダでさえハゲているのに…」という思いが去来。

しかしPukkiはその後も堂々とプレーを続け、5分後には試合を決定付けるアシストを決める。

見直してしまった。

この感情の出どころが全くわからない。僕の性格が悪いのは間違いなさそうである。

子育て番組の男は「パパ」という称号をGetしたことで「男として格好良くあるべきだ」みたいない美学を捨てた感じがしたから嫌だったのか?しかし自分のたるんだ体はどうだ?整合性がなくこれは成立しない。

ハゲを必死で隠しているのも何だかダサい感じがするし、堂々としている自己確信の強いハゲには「もっと頑張れよ」と思う。

自身をも蝕んでいるこの救いようのない状況に怒っているのかもしれない。

目指すべきは自己確信の強いハゲで、そういう意味で言うと僕は2人に嫉妬したのかもしれない。

もしくは、2人が自分の偶像に感じられていたたまれなかっただけかもしれない。

このテーマはしばらく酒の席で人と語ることにする。

【5】

以下の記事で必要条件と十分条件の話をした。

想像で語る。高度経済成長時の会社組織

違う話ではあるが、事業を成長・成功させる為には、上記記事と同じ様に時代の流れを掴むことが必要条件なのだと思う。

十分条件でふと思ったのが「たくさんの失敗から学ぶこと」だった。

感覚的な問題なのだが、失敗経験が少ないと失敗が怖くなる。

行動できない。いざ行動する時は相当の覚悟を要するので過剰に力が入ってしまう。

勝ちグセって大事だよなと長らく思っているが、失敗慣れも同時に重要なのだと思う。

 

書く順番を間違った。

オチがない。

ニャー。