ウェルビー今池のショーアウフグース
チームラボなどの影響か、我らがホームサウナ「ウェルビー今池」にも新しい風が吹いている。
何も知らずに毎時行われるロウリュイベントを待っていると「今からショーアウフグースを始めます」という口上と共に、スピーカーからヒップホップが流れた。
どうやら、音楽に合わせてダンスの様にタオルを振り回し熱波を送るのが「ショーアウフグース」らしい。
言いしれない違和感を感じながら、イベントはスタートする。
音楽に合わせてタオルを振り回す。熱波が届く。これは普段どおり気持ちがいい。
当然だが、大きなタオルを振り回すので、あおぐリズムが音楽とちょっとずれる。ちょっと気になる。
ヒップホップの間奏でテクノっぽい音が流れるのだが、まるでフレアバーテンディングの様にタオルをくるくると回している。当然やっている本人は全力で、この癒やしの空間とテクノとフレアバーテンディングのギャップに思わずクスッとしてしまった。
奥の方に白眉の老人がいる。半世紀も前からその場所に座っているかのような雰囲気を醸し出すおじいちゃん。微動だにしない佇まいの中で、一体何を感じているのだろうか。
「あぁしまった!」という声で顔を上げると、熱波師がタオルを落として、水浸しにしてしまう。
「すみません。すみません」と言いながらも彼は一生懸命タオルを振り続けた。
お世辞にも上手いとは言えないタオル捌きの彼はきっと新人なんだと思う。
「すみません。すみません」と言いながら必死でタオルを振る彼を見ながら「あぁ今は4月だもんな」と改めて思った。
気がづくと、彼が何か技を決めると皆拍手を送っていた。
彼が失敗してもエールの様な拍手が起こった。
その中には半世紀の間ずっと同じ場所に座っているあの老人もいた。
ひたむきな新人の姿を見るのは気持ちが良いなと思う。
「新人さん」は春を作る要素なのだと思う。