創造的なアイディアを生み出すデザイン思考
デザイン思考の歴史
シリコンバレーにあるIDEOという会社が作り出したもの。
※IDEOはアップル社のプロジェクトにて、最初のマウスをデザインした会社である。
シリコンバレーのスタートアップの基本コンセプトは
- アジャイル
- リーン
- デザイン思考(d思考)
によって、構成されている。
スタンフォード大学ではd.schoolを創設し、デザイン思考という考え方を広めている。
デザイン思考とは、ユーザー体験をデザインするという意味で、外見のデザインを指していません
デザイン思考とは
徹底的なユーザーの観察によって、創造的なアイディアを生み出す手法である。
従来型のアイディアを生み出す手法は以下3点でそれぞれ欠点(注意事項)が有る
- アンケート:「顧客に未来のことを聞いてはいけない」という鉄則があり注意が必要だ
(※iphoneや新型フォードは顧客アンケートからは生まれ得ないからだ) - データ分析:数字のバイアスが発生し、人の心理を見落とすことがある
- 直感:個々人のセンスに依存し、再現性もない
観察に基づいたデザイン思考は、アイディアが多量に出て、再現性がある。
STEP1:まずは観察
ユーザーが
- 言ったこと
- 行ったこと
を観察することがデザイン思考の要諦だ。
文字通り観察であり、ウェブサイト分析なら
- レコーディング機能
- アンケート
が有効である。
観察内容を元に共感
言ったこと、行ったことを元に、主観を出来る限り排除して共感を行う。
- 言ったことを元に、ユーザーがどう感じたのかを推測
- 行ったことを元に、ユーザーが何を考えているのかを推測
上記を行う。ユーザーの潜在的ニーズを掘り起こすには、この工程が重要である。
観察対象として重要なエクストリームユーザー
商品・サービスについて変わった使い方をする、10%以下のエクストリームユーザーの観察は特に重要であり優先度が高い。
STEP2:次に案出し
案を出します。ポイントは以下
- 量を出す(1時間で100案)
- 観察結果を元にテーマを出す(論点を出す。10程度の案が出るテーマ設定を)
- 心理的安全性を確保
- 踏み台案(他社の案のブラッシュアップ案)を出す
STEP3:試作施工
プロトタイプを作って試す工程である。ウェブサイトなら
- (制作前なら)ペーパープロトタイプを作る
- (制作後なら)ABテストを実行する
ことが有効な手法だ。
デザイン思考事例
ベトナムで143万人の子どもを栄養失調から救ったシェリー・スターニン
貧しい村々を訪れて、その中で健康状態の良い子どものお母さんに、インタビューを行う。
その際に、村の他のお母さん達も連れていって、一緒に話をする。
発育状態の良い子どもは、1日4食(食べている総量は他の子とほぼ同じ)であり、
その辺で取れるエビのからや、サツマイモの葉っぱを食べていた。
※村では伝統的に、エビのからやサツマイモの葉は子どもの身体に悪いと信じられていた。
同じ工程を村々で展開。
1つ目の村で培ったノウハウを伝えるのではなく、同じ工程を行った。
方法だけを教えられても実行度が低いと考えた為だ。
結果として143万人の子どもの栄養状態を恒常的に改善した。
IDEOがバンク・オブ・アメリカの新サービスを立ち上げ初年度で170万人のユーザーを獲得
デザイン思考の元祖IDEOは、新規ユーザーを獲得し、既存ユーザーを繋ぎ止めるサービスというお題に対して、
Keep the chargeというサービスを作って、リリース初年で170万人のユーザー獲得に成功した。
お釣りを貯金箱に入れるというユーザーの行動から、デビットカードの端数を自動で貯金するというサービスだ。