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変な経営論(澤田秀雄インタビュー)の読書感想文


ハウステンボスを劇的に経営再建したHISの澤田会長の逸話として地元長崎で聞きかじったものは、

  • 立地的なものを活かし「アジア最大のアウトレットモールを作る」というビジョンが地元の金融機関の度肝を抜いて、一気に協力ムードになった。
  • 救済を望む佐世保市に、経営再建の難しさ、チャレンジングさを説明しながら、向こう何年かの法人税の引き下げに成功した

というものだ。

あくまで聞きかじったものなので、実際にどうだったのか?

ということを知りたいとは常々思っていた。

本書ではロボットホテルのことなどに触れられてもいるが(ロボットホテルは経営が軌道に乗ったあとのの、PR戦略の一貫という印象が強く、そもそもの経営再建の原動力とは別だと推測しているので)、それ以上に、上記の様な経営視点でのトピックを探しながら読んだ。

読後の最初の感想

「これぞベンチャー起業家なんだよな…流石…すげぇ…」である。澤田さんの存在を初めて知ったのは、中学校の英語の教科書(実際には教科書でなく、夏休みの課題図書的な英語のテキストブック)だった。スカイマークエアラインを立ち上げて航空業界に新規参入したエピソードだったが、何故か未だに覚えている。

ライブドア事件の際に、エイチ・エス証券の野口氏に関する記者会見で泣いていたのも印象的であった。

ハウステンボス再建に際して

久々のプレイングマネージャーだ。引退後に農業でもしようと軽井沢に土地を買ったばかりだったので、妻には反対された。でも、起業家としての血が騒いだ。

難しい案件であるほど燃えるのだ。自分の手で再生を成し遂げたかった。

いくつになってもこういう姿勢を持てることは一つの理想である。

再建5期目でハウステンボスの経常利益100億円

すごい…全然知らなかったが、正に桁が違う。18年ずっと赤字だったテーマパークがこうも変わるかと驚くばかりである。

冒頭の噂の本当のところ

ハウステンボスは、1992年に開業し、一度も黒字化することなく、創業者の手を離れ、日本興銀の支援の元、何度も経営者が変わったが、立ち直ることなく、2003年に会社更生法を申請した。

その後、野村ホールディングの手に渡り、再建についてトライしたものの上手くいかず、2010年からHISが再建に乗り出すことになった。

当のHISは、ずっと断っていたらしい。

  • 18年間も黒字を一度も出すことがなく
  • 立地は最悪(どの都市からもアクセスが悪い)
  • 東京ドームの1.5倍の敷地面積は、管理コストが莫大

ここから明るい未来を見出すのは簡単なことではない。

当時の朝長佐世保市長が三顧の礼で、澤田さんに頭を下げて最終的に実現している(ちなみに3度目のアポは、アポなしでHISの東京のオフィスに突然訪れたらしい。中々食えない人であるが、結果的に自身の職責を最高の形で果たしたと言ってよい)

以前僕が聞いていた、銀行の協力や、法人税のくだりであるが実際は以下の通りだったそうだ

  • 62億円あった債務のうち、52億円は、銀行団と野村HDが放棄してくれた
  • 残る10億円について、九州財界5社(九州電力・西部ガスなど)の新規出資金で一括弁済した
  • ハウステンボスの土地の固定資産税(毎年約7億円)を、佐世保市が向こう10年再生支援交付金という形で補助してくれた

債務0の状態からスタート出来たことは、新生ハウステンボスにとってとても大きなことであった。

価格破壊メソッドが通じない。独自性かNO1のイベントが重要

HISやスカイマークエアラインエイチ・エス証券の時にも活用した澤田さんの十八番「価格破壊」が通用しなかったらしい。

テーマパークビジネスの集客で重要なのは

  • そこにしかないもの(独自性)
  • ナンバーワンのもの

だそうだ。ディズニーや、USJはその独自性において、誰も真似することが出来ない(ハウステンボスにミッキーマウスがいたら当然訴えられる)

独自性で言うと

  • サウザンド・サニー号(ワンピース)クルーズ
  • ナイトプール

ナンバーワンで言うと

  • 百万本のバラ
  • 2万発打ち上がる九州一番の花火
  • 長さ180mのウォータースライダー(常設でなくゴム制)

などだ。ナイトプールなどは、翌年日本全国でパクられたと回術している。

売上を2割増加・コストを2割削減

を経営再建の際は、合言葉にするそうだ。

コスト削減については、

  • 業者を変えたり
  • 選択して廃止したり
  • どうしてもコストを下げれない部署には、生産性を1.2倍にすることを要求した

生産性については、売上関連要件だと思いこんでいたが、よく考えたら(よく考えなくても)コスト要件であったことを認識。

ロボットホテルは本気で取り組んでいた (失礼しました)

PR戦略だと思っていたが、ロボットホテルは今度100箇所展開するという展望を真剣に語っていた。その本質は話題性ではなくて、コスト削減であるという。勝手にPR用の賑やかし扱いをして失礼致しました。

まとめ

自分が本の内容を理解したくてアウトプットしているので、あんまりまとまっていないが、締めると、ハウステンボスの経営再建には経営のあらゆるエッセンスが詰まっている。大いに参考にしよう。