「安いニッポン」を読んで認識を改めたこと


アップル・ジャパンで社長をやっていた山元さんの講演を聞いていたらこの「安いニッポン」是非読むといいですよ。と言われており、amazonでポチって読んでみた。

日本の物価は安い

驚いたのは、世界中のダイソーの中で100均のままなのは日本だけであるという事実だ。タイでは210円、台湾で180円、オーストラリアで220円、ブラジルでも150円だ。

「高い高い」と言われるディズニーランドの入場料も日本は世界で一番安く、フロリダに比べると半額近くになっている。

思い起こすと、エストニアに留学する途中で訪れたヘルシンキで缶のコーラが高いなと思い、物価が安いと言われていたエストニアでは「正直日本よりちょっと安い程度」だと感じた。

シンガポールに行った際もフードコートの値段が高いなと感じたし、アメリカのITエンジニアの給与も、医療費も聞く限り高いと思った。

(アメリカの医療費の高さは異常だとして)諸外国が高いんじゃなくて、日本が安かったんだと認識を改めた

長期に渡る経済低迷とデフレ

失われた30年と言われて久しい。バブル崩壊後の経済低迷により、日本経済は元気を失った。賃金もほぼ上昇しておらず、物価も据え置かれたままだ。その間も世界経済は発展を遂げ、グローバル化に伴い各国の物価も賃金も上昇している。

物価に関しては、絶対値として値下がりしている部分もあるし、世界と相対的に比較すると基本的に下がっている。あの綺麗な店内で、牛丼が330円は奇跡と言って良いそうだ。

爆買いの正体

中国の富裕層が、日本の家電量販店や、薬局で「爆買い」する様を一時期メディアが取り上げていた。論調としては「高品質な日本の製品を求めて大量に買っている」と。

今は一般化したが、当初「爆買い」という言葉には、常軌を逸したというニュアンスが含まれていた。「太った中国の成金が、日本様の高品質な商品を(下品なレベルで)大量に買っている」という空気感を僕は当時感じていた。

この認識は、日本の家電量販店の幹部に言わせると完全に間違いだそうで「安いから大量に買っているだけ」「バブル期の日本人が、物価が安い国で大量にモノを買っていたのと同じ」と断罪する。

中国に抜かれたとは言え、世界第三位GDPだとタカを括っていただけに、上記の内容は正直ショックだが、この認識を変えないことには、世界で戦える様にはならない。

物価が安ければ輸出で外貨を取りにいけば良い

日本から世界にモノを売る際の心理的ハードルとして、物価差が常に念頭にあった。しかも勝手に物価差をカバーして買ってくれるのは、アメリカ・ヨーロッパの一部・中国くらいしかないのでは?という思い込みもあり、そのマーケットの最先端の企業としのぎを削ることばかり想定しており、難易度の高さも勝手に感じていた。

しかし、相対的に日本の物価が安いとすれば、商品やサービスが輸出できる範囲がかなり広がったなと感じている。ちゃんと調べていないからなんとも言えないが、アフリカとかも(一部の国は)既に視野に入れることが可能なんだろうと思う。

良いものを安く提供するのは日本のお家芸で、図らずも「安く」なっちゃっているならばこれをチャンスとして捉えたいと思う。

 

戦後の先人が作ったGDPの中でのうのうと暮らしてきた。ある種鎖国的な日本の経済活動の中で、グローバルな競争力のある企業としてAPOLLO11を成長させたいと思う。