音楽と年齢と気分


外注さんで、仲の良いデザイナーさんがいて、たまにだが、作業中にどんな音楽を聞いているかみたいな話になったりする。正直、僕はあんまり音楽に詳しくないが、その人は音楽に造形が深く、例えば、テイラー・スウィフトが日本でも大ヒットして数年たったあとに、「俺、この前初めてテイラー・スウィフトっちゅうやつを聞いたんだが、ありゃ凄い。あの音作りは10代の女子とかたまらんだろうな。裏方も調べてみたけど、男が多いし、あれはマーケティングの賜物」とか、僕が「ヨーロッパで『what the fox say』という面白音楽が流行ってるらしいですよ」と言うと、「ふーん、面白いじゃん」で済まず、ディスコ音楽の歴史から、パーティロックアンセム、カンナムスタイルまで真剣に解説してくれる。音楽ばかりかと思えば、ある時は落語を聞いていて「桂(なんとか)は面白い」といった調子で、そもそも知識のジャンルが幅広い。そうなってくるとオススメの音楽を気軽に勧めるなんてことは難しい。「こいつはこんな音楽を聞いて満足しているのか・・・」と蔑まれるような気がするからである。こうなると得意分野で勝負するしかない。先日意を決して「ブラックマヨーネーずのずぼりらじお」を紹介したところ、たいそう気に入ってくれていたのでそれは良かった。

「年齢と共にノイズの多い音楽がきつくなってきた」

とは前述のデザイナーさんの言葉である。これは何となくわかる気がしていて、例えばうちの父は若い頃はエリック・クラプトンが好きで、LAYLA(デレック&デーモンズの方)なんかもギターでじゃかじゃかやっていたらしいが、今はクラシックしか聞いていない。

「しんどい時はクラシックとか自然音しか受け付けない」

これは僕の言葉で、気分によるのだが、しんどい時や、これ以上情報を入れたくない時なんかは、クラシックとか、小川のせせらぎの音(笑)なんかを聞いていたりすることが多い。激しい音楽を受け付けないのだ。

恥ずかしいから今日はオフィスに誰も来ないことを祈る

年齢と共に好む音楽は変化するのだろう。僕は今31歳である。そして今15歳くらいが好みそうなロックを聞きながら作業をしている。トレーニング後なのでアドレナリンが出ているせいなのか、作業に没頭したいせいかわからないが、今はノイズが心地よい。恥ずかしいので、爆音のかかった休日のオフィスに誰も来ないことを祈るのみである。